【教材研究】バッハ インヴェンション
こんにちは。長野県長野市西和田のいはらピアノ教室です。
インヴェンションの勉強をしている生徒さんがいるので、私も練習したり、勉強しなおしたりしています。
新しい曲に入るときは、私が範奏してあげるのですが、インヴェンションはさすがにちょっと練習しておかないと、お手本になるような演奏ができません;;;;
バッハはね、とてもとても綺麗だけど、弾くのが大変だよね。
インヴェンションに取り組む生徒さんたちも、なかなか苦労していますが、「大変だけど、バッハは綺麗だから好き!」と言ってくれていて嬉しいです。
改めて弾いてみると、弾くのが精いっぱいだった学生の頃に比べて、いろいろな発見があって楽しいです。
こここんな風にできたのね!と感心することばかり。
音楽雑誌のコラムがとても面白かったので、杉浦先生の著書も購入して読んでいます。インヴェンションの表現の捉え方について、とても興味深いことが沢山書かれています。超面白い。
音楽の起こりはやっぱり教会音楽、宗教音楽からなので(ドレミも、教会で歌われていた歌の、歌い始めの音と歌い始めの文字からそれぞれ来ています)、キリスト教や信仰と切り離せない部分があります。
バッハも教会のオルガニストでしたし、 バッハがその旋律で何を言おうとしたか、表現しようとしたか、我々には想像しかできませんが、想像して、考えて演奏することが大事だし、その方が楽しいし素敵な演奏になります。
杉浦先生の本を読んでいて、改めてインヴェンションはとても詩的な音楽だなぁと思いました。そうやって弾いてみるととても楽しい。。
教えることで、私も勉強させてもらっていて、さらにさらに音楽やピアノが楽しくなっていきます。生徒さんに感謝です。
対位法
メロディーと伴奏という音楽のスタイルが生まれるのは、バッハが40歳くらいの頃。
それまでは、いくつものメロディーが絡み合って音楽をつくる多声音楽(ポリフォニー)が主流でした。バッハはその多声音楽の作曲技法「対位法」を極めた人。インベンションもその対位法を使って書かれています。
対位法、私も大学で勉強しましたが、いやぁ、もう難解です。
大学の試験でフーガも書かされ書きましたが(3~4時間すし詰め状態で、五線紙と筆記用具のみで1曲書きます…。ピアノなし。飲食はOK。笑 チョコレートをバリバリしながら書いてました…。)今やれと言われても無理です。。。いやです。。
当時勉強してた本があったので、あげてみます。(お茶のシミ・・・!笑)
線引いてあるけど、ほとんど引いてありますねぇ。
同方向のアルペジオは×、音域が足りないときはリズムで補う。等等メモ書きがあります。記憶の彼方です(;・∀・) そうそう。両パートが何度以上離れちゃいけないとか、いろいろ禁則があったのを薄っすら思い出しました。
バッハの頃は美しい響き(協和)、汚い響き(不協和)というものが明確に決められていて、汚い響きを使ってはいけないことになっていましたので、作曲をするための決まり事も沢山あって、使える音の制限や禁則も沢山あるのです。
手詰まり!みたいなことが頻発するので、頭を抱えるほかありません。
ただ、対位法の決まりに則って主題(テーマのメロディー)を作っていくと、きちんと作れたときは、きれ~~いに音がはまって、絶対に濁らずに美しい響きですべてのパートが絡まりあっていくのです。
その決まりの中で、いかに音楽的で美しい主題を書くか。
「間違ってないけど、面白くない。」と先生によく言われました・・・。
対位法を勉強する意味
なんでそんなややこしい対位法を勉強しなければならないか。
対旋律が書けないからです。裏のメロディーとか、もう一つのメロディーとか、メロディーに絡み合う合いの手とか。
ピアノの場合、この対位法で書かれた曲(ポリフォニー音楽)を勉強するのも同じ理由です。多声部の音を聴き分け表現する耳、同時に並行して2つ以上の旋律を表現するバランス感覚とテクニックを育てるために勉強します。
バッハ以降の作曲家は、そのほとんどがバッハを勉強した上で作曲をしていますから、一度に2つ以上のメロディーの表現ができなければ、ショパンなどの作品も美しく立体的な演奏にできません。
ただ音を連ねることと、演奏表現することとは、まったく別のもの。
なかなか厳しい世界ですが、中級以降のピアノでは必須になってきます。自分の演奏する曲や音のすみずみまで、耳や意識が行き届いた演奏。せっかく中級まで頑張って来たのだから、どうかそこまで目指し、求めてほしい。
演奏家でなくても、表現として求める先は同じだと思っています。